大分統計談話会とは

 大分統計談話会は1989年に設立され,その第1回会合が1990年2月23日に開催された.当時には,高度情報化社会の到来とともに至るところでデータが蒐集・蓄積され,その有効活用を望む声が高まっていた.このような時代の要求に応えて,コンピュータを用いた統計的接近法が脚光を浴びつつあった.その流れに沿って,統計的方法論に対する応用領域はますます多様化する様相をみせていた.このような背景のもとに,統計的方法論の潜在しているニーズを掘り起こすことを意図して,大分統計談話会の活動が開始された.当初には,大分に縁りのある以下の3名の方々が世話人をつとめられた[敬称略].
永井武昭(大分大学工学部教授:当時)
後藤昌司(塩野義製薬(株)解析センター長:当時)
井手健一((株)富士通大分ソフトウェアラボラトリ取締役:当時)
当時の動機と様相を知る手がかりは,永井武昭先生の代表世話人としての挨拶文にある.以下に,ほぼ原文のまま掲載する.

謹啓
90年代幕あけの年を迎え,21世紀の足音も聴こえるようになってまいりました.新年にあたり貴方様にはご研究・開発にますますご精励のこととお喜び申し上げます.
高度情報社会の到来とともに,至るところでデータが蒐集・蓄積され,その有効活用を望む声が高まって参りました.このような時代の要請に対して統計的接近法の有用性が多方の注目を集めております.ここに,九州大分の地におきまして大分統計談話会を開催することにいたしました.本談話会が全国の諸先生・研究者の皆様に自由な討論と情報交換の場を提供し,今後の情報処理解析の方法論の発展に貢献できますように微力を尽す所存でございます.第1回会合におきましては,以下のプログラムの要領で進行をはかりたいと計画いたしております.[敬称略]
セッション1:「コンピュータと統計学の接点」
座長:後藤昌司(塩野義製薬)
越智義道(大分大学):計算機統計学入門.
多賀康夫((株)富士通大分ソフトウェアラボラトリ):“STRACT”における統計的接近法について.
飯坂洋一((株)アイザック):“S”の活用に向けて.
セッション2:「統計グラフィックスと統計ソフトウェア」
座長:永井武昭(大分大学)
松原義弘(塩野義製薬(株)):統計グラフィクスの最近の動向.
内山雅夫((株)SASソフトウェア):“SAS”の適用にみる最近動向.
東阪知子(MPC) :“SD-BASEU”とその利用の実態.
セッション3:「くすりの開発・評価過程における統計的方法」
座長:深道春男(大分大学)
佐野修一(藤沢薬品工業(株)):薬理疫学と第4相臨床評価について.
湯田浩太郎(富士通(株)):「超球法」と「傾斜超球法」の開発:構造活性相関分析への応用.
ご多用中のこととは存じますが,万障お繰り合わせのうえご参加いただきますようにお願い申し上げます.
大分は,風光明媚,山海の珍味・美味に富み,人情にも厚いすばらしいところであると自負しております.貴方様のご出席を得ることで本談話会をこれからの「地域の時代」の先駆となるように充実させて参りたいと存じますので,今後ともご教導のほどをよろしくお願い申し上げます.
なお,何かお気づきの点,およびご不審な点がございましたら本談話会事務局までご一報いただきますと幸いです.
時節柄,貴方様のご自愛のほどを心よりお祈りいたしております.
敬具